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仲野 友英; Shumack, A.*; Maggi, C. F.*
Journal of Physics B; Atomic, Molecular and Optical Physics, 2 Pages, 2016/01
原子力機構とユーロヒュージョン(オランダ基礎エネルギー研究所、マックスプランク物理研究所、などからなる研究組織)との共同研究により、ヨーロッパの大型トカマク装置JETの高温プラズマ中のタングステンイオン密度を決定することに成功した。改良型X線分光器で測定されたスペクトルを原子構造計算プログラムFACによって解析した。この解析により45価及び46価のタングステンイオンと32価のモリブデンイオンのスペクトル線を同定した。さらに、意図的にモリブデンをプラズマに入射することによって、モリブデンイオンのスペクトル線の同定結果を確かめた。これらのタングステンイオン及びモリブデンイオンのスペクトル線の絶対強度からそれらの絶対密度を決定した。
杉江 達夫
プラズマ診断の基礎と応用, p.116 - 131, 2006/03
プラズマからの放射は、プラズマのエネルギーを外部に放出するため、エネルギー閉じ込め性能を低下させる。また、混入した不純物イオンは、燃料である重水素イオン,三重水素イオンの全イオンに対する割合を低下させ、核融合反応効率の低下を招く。そのため、不純物イオンの制御(発生,混入の低減、及び排気)が重要な研究課題となっている。分光測定は、このような課題を研究する際の重要な診断手段の一つである。また、イオン温度,電流分布等の主要プラズマパラメータの測定にも利用されている。本節では、高温プラズマからの放射と、その分光測定について述べる。
嶋田 道也; Costley, A. E.*; Federici, G.*; 伊尾木 公裕*; Kukushkin, A. S.*; Mukhovatov, V.*; Polevoi, A. R.*; 杉原 正芳
Journal of Nuclear Materials, 337-339, p.808 - 815, 2005/03
被引用回数:65 パーセンタイル:96.47(Materials Science, Multidisciplinary)ITERは燃焼プラズマの研究と実現を目的とした核融合実験炉である。その特徴は、加熱パワーのほとんどがアルファ加熱によって供給されるということである。ITERは現在運転中の装置からの顕著なステップであり、かつ核融合炉開発において不可欠のステップである。ITERの成功は、プラズマ壁相互作用の制御のいかんにかかっていると言っても過言ではない。ITERは熱束,粒子束及び時間スケールにおいて現在の装置を一桁ないし二桁上回るからである。ITERにおけるプラズマ壁相互作用の制御の戦略として、セミクローズ・ダイバータ,強力な燃料補給と排気,ディスラプション及びELM制御,交換可能なプラズマ対向材料、及び段階を追った運転などを計画している。
嶋田 道也
プラズマ・核融合学会誌, 80(3), p.222 - 226, 2004/03
周辺プラズマ及びプラズマ・壁相互作用に関する研究の目的について述べるとともに、ITERのダイバータ性能の予測について議論する。また材料やトリチウム吸蔵,ELMやディスラプションのような過渡的現象に伴うプラズマ・壁相互作用に関する研究の主要な課題について議論する。さらに、ITERプラズマの予測法や制御法を確立するための研究開発の戦略について議論する。
Mironov, M. I.*; Khudoleev, A. V.*; 草間 義紀
Plasma Physics Reports, 30(2), p.164 - 168, 2004/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Physics, Fluids & Plasmas)高エネルギー荷電交換計測により、水素様不純物イオンによる水素イオンの中性化によって生成される高速原子の分布関数を決定することができる。分布関数を得るためには、プラズマ中でのターゲットイオンの成分と空間分布を知る必要がある。荷電交換標的粒子は、不純物原子核と加熱用中性粒子ビームとの相互作用で生成される。中性粒子ビームと計測装置との位置関係に基づき、ターゲット粒子の軌跡を計算する必要がある。実際のトカマク配位での不純物イオンのバランスを構築する原子の基礎過程を考慮するモデルが提案されている。JT-60Uプラズマへこのモデルを適用する。荷電交換原子束の形成機構を調べた。荷電交換束への異なったビーム入射装置の相対的な寄与を評価した。計算結果に基づき、固定した分析器を用いたイオン分布関数の局所的な測定の方法を提案する。
久保 博孝; 櫻井 真治; 東島 智; 竹永 秀信; 伊丹 潔; 木島 滋; 仲野 友英; 小出 芳彦; 朝倉 伸幸; 清水 勝宏; et al.
Journal of Nuclear Materials, 313-316(1-3), p.1197 - 1201, 2003/03
被引用回数:20 パーセンタイル:75.71(Materials Science, Multidisciplinary)負磁気シア放電は、定常トカマク型核融合炉の運転シナリオに対する有力な候補である。一方、ダイバータ板への熱負荷の低減には、不純物入射による放射損失の増大が有効である。JT-60では、高閉じ込めの負磁気シア放電に、Ne及びArを入射し、放射損失を増大した。Ne入射の場合には、X点MARFEの発生により放射損失が増大し、ダイバータプラズマが非接触状態になった。この非接触ダイバータを維持しつつ、内部輸送障壁が成長し、閉じ込め改善度が1.3から1.8に増大した。この時、Ne及びCの密度分布に内部輸送障壁が観測されたが、その密度分布は電子密度分布とほぼ同じで、不純物の選択的な蓄積は観測されなかった。一方、Ar入射の場合には、放射損失は内部輸送障壁の内側で増大し、軟X線発光分布からも主プラズマ中心部でのArの蓄積が示唆された。
石島 達夫
JAERI-Research 2000-015, p.94 - 0, 2000/03
核融合炉においては、非接触ダイバータが標準シナリオと考えられている。しかしながら、非接触ダイバータの運転領域は不純物が炉心プラズマに混入してしまう局所的に放射損失が高くなる現象(MARFE)に近接しており、MARFEの回避法が課題となっていた。本論文は、分光学的な解析から境界プラズマ層のプラズマ流がダイバータ領域に不純物を留めMARFEを回避するために重要であることを初めて明らかにした。通常のトカマク放電では異常拡散が支配的であり、新古典拡散理論で予測される不純物の選択的な中心への蓄積は観測されない。閉じ込めのよい負磁気シア放電においては、電子密度、電子温度、イオン温度が中心領域で増大し、この時、炭素密度及び放射パワーも中心領域で増大していることに着目し、分光学的な計測及び解析を行った。その結果、炭素不純物の増加量は、新古典拡散理論でほぼ説明できることを明らかにした。閉じ込め改善度が高い負磁気シア放電の場合、~1秒程度の定常維持が続くと中心において不純物が蓄積することにより閉じ込め性能に影響を与える可能性がある。また本研究では炉心のパワーバランスの理解のために重要である放射パワーの解析を行い、不純物と重水素イオンによる制動放射で説明が可能であることを明らかにした。
芳野 隆治
プラズマ・核融合学会誌, 75(12), p.1337 - 1374, 1999/12
ディスラプションは、トカマクプラズマがその熱と磁気エネルギーを短時間で放出する現象であり、その放出する過程を外部より制御することはかなり難しい。このためディスラプションによりトカマク装置の受ける影響を評価するために、その特性を評価することは炉設計における最重要課題の1つになっている。緊急停止も一種のディスラプションがあるが外部より能動的に発生させること、トカマク装置の受ける影響を大きく緩和することを狙いとする点が大きく異なる。炉の緊急停止シナリオはディスラプションの研究から生み出されたものであり、炉の運転稼動率を大きく高めるために極めて重要である。加えて、ディスラプションの発生確率を大きく低減するには、ディスラプションの回避が必要である。この回避は、燃焼制御の1つと考えてよく、今後の研究課題として重要である。
仲野 友英; 久保 博孝; 杉江 達夫; 東島 智; 鈴木 慎悟*; 逆井 章; 伊丹 潔
JAERI-Research 99-003, 16 Pages, 1999/01
臨界プラズマ試験装置JT-60Uのダイバータプラズマにおける不純物挙動を調べるために、可視領域(300~780nm)のスペクトルを観測した。観測の結果、DI,HeI-II,BII,CII-IV,OI-IIIからのスペクトル線とCD及びC分子のスペクトルバンドが同定された。軽元素不純物のスペクトル線は、主量子数の変化を伴わない遷移(n=0)によるものが多く観測され、主量子数の変化を伴う遷移(n0)では方位量子数が大きい準位間の遷移が観測された。C分子のスペクトルバンドはSwan bandと同定された。
杉江 達夫; 小川 宏明; 勝沼 淳*; 丸尾 光正*; 海老沢 克之*; 安東 俊郎; 北 好夫*; 河西 敏; 西谷 健夫
Review of Scientific Instruments, 70(1), p.351 - 354, 1999/01
被引用回数:10 パーセンタイル:58.79(Instruments & Instrumentation)本システムは、ダイバータ部での不純物粒子の同定と粒子流入束の二次元測定をおもな目的としており、プラズマ制御に欠かせない計測システムの一つである。200nmから1000nmの広い波長領域の光を分光計測する。ここでは、おもにシステムの概念設計、光学設計、及び機械設計の結果について述べる。システムは、目的の異なった三種類の分光器で構成される。(1)不純物の種類をモニターする分光器、(2)粒子束の空間分布を高速測定する分光器、それと(3)イオン温度及び粒子の運動エネルギーを測定する高分散分光器である。二次元測定はダイバータカセット内部にモリブデン製ミラーを設置し、互いに交差する視野で行う。また、光線追跡による解析を駆使して光学系の最適化を行い、ダイバータ全域において約10mmの空間分解能を可能とした。その他、ダイバータでの発光スペクトル線の強度を推定し、測定限界の評価等を行った。
加藤 隆子*; 森林 健吾*; 村上 泉*; 大平 光彦*; 久保 博孝; 清水 勝宏
Proc. of 1996 Int. Conf. on Plasma Physics, 1, p.730 - 733, 1996/00
JT-60Uでは、ダイバータ・プラズマにおいて炭素イオンが発する可視光の絶対強度分布を測定している。今までの研究では、CIIおよびCIVについては密度効果を考慮した励起機構によって測定された強度分布がよく説明できたが、CIIIについては計算結果と食い違いがあった。本研究では、CIIIについては準安定状態にあるイオンが基底状態にあるイオンより多いことに着目し、準安定状態および時間発展を考慮したレート方程式によってイオンの存在率を計算した。その結果、CIIIの準安定状態がCIIの基底状態の内殻電離によって生成され長時間存在することがわかった。これにより、JT-60Uで測定されたCIIIの線強度分布が説明できた。
西堂 雅博; 荻原 徳男; 嶋田 道也; 新井 貴; 平塚 一; 小池 常之; 清水 正亜; 二宮 博正; 中村 博雄; 神保 龍太郎*; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, 32(7), p.3276 - 3281, 1993/07
被引用回数:57 パーセンタイル:90.94(Physics, Applied)JT-60Uにおいて、プラズマ不純物の低減を図ることを目的に、デカボランを用いたボロンコーティングを2度実施した。ボロンコーティングにより作製されたボロン被膜の膜厚、元素組成及びその分布を走査型電顕、オージェ電子分光法、核反応解析法により測定し、以下の事が明らかになった。(1)デカボラン吹き出し口付近の膜厚は80nmであるのに対して、トロイダル方向に約180°離れた場所での膜厚は約2nmとうすく、不均一な分布となっている。(2)H濃度は約10%である。(3)ボロン含有量は90%以上であり、H以外含まず純度が高い。これら膜の特性と、プラズマ不純物低減効果との関係について考察した。
西堂 雅博; 平塚 一; 新井 貴; 閨谷 譲; 嶋田 道也; 小池 常之
Fusion Engineering and Design, 22, p.271 - 275, 1993/00
被引用回数:32 パーセンタイル:96.08(Nuclear Science & Technology)ジボランより危険性の少ないデカボランを用いたその場ボロン化処理(ボロナイゼーション)装置を製作し、JT-60Uに設置した。本装置の目的は、JT-60U第一壁表面にボロン膜を作製し、JT-60Uプラズマ中の不純物を低減することにある。本論文では、装置の概要及び、デカボランを用いるとガス供給系が常に大気圧より低く装置自体が受動的安全性を有するなど装置の優れた特長について述べる。さらに本装置を用いて行ったその場ボロン化処理の結果、酸素不純物が著しく減少し、プラズマ性能の向上、プラズマ放電のスムーズな着火など、良好な結果が得られていることについても、述べる。
芳野 隆治; 閨谷 譲; 細金 延幸; S.W.Wolfe*; 松川 誠; 二宮 博正
Nuclear Fusion, 33(11), p.1599 - 1612, 1993/00
被引用回数:34 パーセンタイル:71.51(Physics, Fluids & Plasmas)ディスラプションにおける、プラズマ電流低減速度の緩和(低速化)と、逃走電子の抑制に関わる一般的手法の開発を目的として、JT-60Uダイバータプラズマにおける電流クウェンチを調べた。その結果、1)エネルギークウェンチ時の不純物発生の軽減、2)その不純物の主プラズマへの混入の抑制、及び、3)電流クウェンチ時の電子温度の高温化が、プラズマ電流低減速度を緩和するのに有効であることを明らかにした。具体的な手法としては、エネルギークウェンチ直前の蓄積エネルギーを下げることにより、不純物発生量を低減できること、実効安全係数を増大することにより、不純物の主プラズマへの混入を抑制できること、さらに、電流クウェンチ時のNB加熱により、電子温度の低減を抑制できることを示した。一方、逃走電子の発生は、エネルギークウェンチ直前の電子密度を増大することにより、回避できることを明らかにした。以上の結果を用いて、-6MA/sのプラズマ電流の急速低減を実証した。
平山 俊雄; 杉江 達夫; 逆井 章; 芳野 隆治; 鎌田 裕
JAERI-M 91-169, 15 Pages, 1991/10
ペレット入射により形成された急峻な密度勾配を有するプラズマについて、新古典輸送理論に基づく不純物輸送計算結果を、実験的に得られたTiXX及びTiXXIのスペクトル線の時間変化と比較することにより、チタン不純物の輸送特性を調べた。チタン不純物は急峻な密度分布と鋸歯状波振動の抑制に関連して、プラズマ中心領域に集中する。チタン不純物の挙動は、プラズマ内部での異常輸送の低減と新古典輸送モデルにより説明できる。この様な不純物の中心集中は、新古典不純物輸送理論が予測するように、強い密度勾配と軽元素不純物との衝突により生じる。低域した異常輸送係数は、q=1面内の中心領域では0.2m/sと推定できる。プラズマ周辺領域はなお、異常輸送が支配的である。
斉藤 誠次*; 杉原 正芳; 藤沢 登; 阿部 哲也; 上田 孝寿*
Nucl.Technol./Fusion, 4, p.498 - 507, 1983/00
核融合炉のダイバータ室内における中性粒子の挙動を解析し、ヘリウム排気に必要な排気速度を評価するために、モンテカルロ法により中性粒子の密度分布および温度分布を計算するプログラムを開発した。特に、排気ダクト内の中性粒子の挙動を合わせて解析できるプログラム構成とし、排気ダクトに流入する高温の中性粒子が排気効率に及ぼす影響を詳細に解析した。INTORを対象とした数値計算では、ダイバータ内のスクレイプオフプラズマの密度が10/cmを超えると、必要排気速度は10l/S以下と極めて低くできる可能性を示した。
津田 孝
JAERI-M 8750, 92 Pages, 1980/03
軸対称トーラス中のプラズマが持つ角運動量保存の性質を用いて、径方向電界の振舞と不純物イオンの輸送について調べた。さらに、軸対称性の破れが径電界の振舞に与える影響や不純物イオンのリップル拡散について解析した。
天野 恒雄*; 岡本 正雄
JAERI-M 8420, 50 Pages, 1979/09
トカマク・プラズマの振舞を解析するため、半径方向1次元の輸送コード(トカマク・コード)を開発した。コードには、中世粒子、不純物、Fokker Planck方程式(NBI、-加熱)、rf-加熱のルーチンも含まれているが、これらを一変に解説するのは困難なので、今回の報告書では、先ず、コードのうち、もっとも基本的な部分について、計算モデル、数値計算法、コードの使い方について解説し、テスト・ランの結果を示す。不純物、NBI、rf-加熱、Burning Plasma等を含むコードについては別に報告する。
仙石 盛夫; 安積 正史; 松本 泰夫*; 前田 彦祐; 下村 安夫
JAERI-M 7918, 62 Pages, 1978/10
リミタ材やダイバータの中性化板のセルフ・スパッタリングにより発生した不純物の挙動を、モンテ・カルロ法により解析するコードの開発を行なった。このコードをDIVAおよびJT-60に適用し、壁材不純物の増加しない条件から、境界プラズマの温度の上限を求めた。
吉川 允二
JAERI-M 5849, 20 Pages, 1974/09
臨界プラズマ試験装置の一環として不純物対策と研究において得た成果である。多孔構造を持つ真空容器壁は、プラズマ粒子の衝突によって発生する不純物粒子を孔の中で吸着し外部に出さないので、スパッター比を実効的に軽減する可能性を持つ。本論文は、この効果に関する定量的検討に関するものである。
小川 宏明; 北澤 真一; 杉江 達夫; 勝沼 淳*; 北澤 大輔*; 大森 啓介*; 伊丹 潔
no journal, ,
ITERダイバータ不純物モニターは、ダイバータプラズマから放射される燃料粒子及び不純物の紫外から近赤外領域のスペクトル線の発光強度から、ダイバータプラズマ中の燃料粒子や不純物の密度、流入束等を評価し、ダイバータプラズマ制御に使用する計測装置である。原子力機構では、2013年7月に調達取り決めを締結した。今回、その場感度較正の波長領域を紫外領域まで測定範囲を広げるために新たにモリブデン製キャッツアイミラーを製作し、光学性能試験を実施した。その結果、3種類のレーザー(波長: 632.8, 543.5, 473.0nm)を用いた反射率測定ではモリブデンの鏡面の反射率から予想される値とほぼ等しい反射率が得られた。本講演では、予備設計レビューに向けて進めている詳細設計の進捗状況及びキャッツアイミラーの光学特性とこれを用いたその場感度較正法の原理実証試験について報告する。